RTK基準局情報の更新
概要
研究のために、測位衛星システム(GNSS: global navigation satellite system)の電波観測を行っています。研究に支障のない範囲で、RTK基準局として、この観測データをインターネットにて一般公開しています。
これまで、多いときには数日に1回、少なくとも2ヶ月に1回は、機器や設定を更新してきました。当初からの変更が多くなってきたため、トップページに直接リンクのあるRTK基準局の内容を更新しました。
なお、組織改変のために、2024-08-31以降の運用は未定です。残り1年間にて、色々な実験をしたいと思います。
設備
最初は、Emlid Reach RTK(チップセットはu-blox M8T)受信機と、Tallysman TW4721アンテナにて、観測局の運用を始めました。観測局の作成方法も公開しました。
この観測局では、雷センサを設置したり、機器雑音に悩まされたり、浸水トラブルを経験したり、ブロックチェーンを経験したり、ソフトウェア無線機(SDR)を設置したり、u-blox ZED-F9Pにて2周波数化したりしました。
測量級アンテナJavad(ジャバド)GrAnt-G5Tを入手できたことで、多くの知見を蓄えられました。お金が足りなくて、その当時には、測量級受信機を買えませんでした。初期に良いアンテナを利用することは大事だと思いました。
その後、幸いにも測量級受信機NovAtel(ノバテル)OEM729受信機を入手しました。安価で優れた受信機である、Allystar(エイリスタ)HD9310オプションC、Sony Spresense(スプレセンス)、Drogger VRSC、bynav C1-FS、Unicore Communications UM982、Septentrio mosaic-go CLAS、Septentrio mosaic-go X5も利用できました。
現在の機器の接続図は次のとおりです。
観測局スペースに限りがあるため、頻繁に機器の入れ替えを行ってきました。現在まで、長期間にわたりこのスペースにある機器は、ZED-F9P受信機と、OEM729受信機と、HD9310受信機です。スペースが全く足りないので、自宅にもGNSSアンテナを設置し、インターネットを用いて、職場からも、この取り外した機器を利用しています。GPSDO(GPS disciplined oscillator)を用いた周波数安定度解析やSDR(software defined radio)を用いた電波受信をするためにも、空調があり、アンテナケーブルを引き込める、自宅スペースの活用が必須でした。
私の興味も、RTKから、精密単独測位(PPP: precise point positioning)や、測位メッセージ解析へと変化しました。後に、受信機生データを解析することがほとんどなので、データ収録形式をRTCMから受信機生データに変更しました。収録したアーカイブデータの一部は、インターネットにて公開しています(参考:RTK基準局観測データアーカイブの試験公開、観測データの過去アーカイブ)。
インターネット配信
一方、観測データのインターネット配信作業は、ソフトウェア設定が中心なので、配線変更を伴う設備作業よりも容易です。
パソコンの仮想化ソフトウェアを用いて、Linux VM(virtual machine)上でNTRIP(エヌトリップ、Networked Transport of RTCM via Internet Protocol)キャスタなどのソフトウェアを動作させています。VMの利用により、ディスクイメージのバックアップやパソコンの変更が容易になり、また、万が一のソフトウェア脆弱性による被害を最小限にできます。
また、NAS(network attached storage)のNFS(network file system)マウントを用い、このインターネット配信用VMとウェブサーバ用VMサーバのVMとのデータ領域を共有して、生データを収録しています。
観測局の今後
2022年度からの組織改変により、今の形でGNSS観測でき、情報公開できるのは2024-08-31までです。今後、どのようになるのかは、現時点ではわかりません。
この組織改変は、研究活動や教育活動をよりよくするためのものでした。しかし、より多くのルールを作り、それを強制することを生きがいにした人たちが遺した負債やエゴイズムにより、モラルハザードがおき、組織が壊れました。もう、よくなることはありません。
これから大学や大学院への進学を目指す皆さん、大学教員を目指す皆さん、教育や研究だけでなく、その組織の背景も重要です。生きるのに精一杯だと、時間はあっという間に流れてゆきます。ご自身を大切にされ、よく調査されて、より充実した人生を歩んでください。