RTK基準局(GNSS観測局)
概要
測位衛星システム(GNSS: global navigation satellite system)の電波観測を行っています。この観測データは、リアルタイムストリームおよびアーカイブにて、インターネットに公開しています。このリアルタイムストリームとして、RTCM(Radio Technical Commission for Maritime Services)形式も利用していますので、RTK(realtime kinematic)基準局としても利用可能です。
なお、この設備は研究のためのものです。利用できないこともあることをご了承ください。また、2024-08-31以降の運用は未定です。
参考:RTK基準局(旧ページ)
リアルタイムストリーム
(1) 接続情報
公開情報は、リアルタイムストリームと、アーカイブデータとがあります。
このリアルタイムストリームは、NTRIP(エヌトリップ、Networked Transport of RTCM via Internet Protocol)形式を用いています。この形式は、インターネットでのGNSS観測データ公開では一般的なものです。
この観測データは、どなたでも、事前連絡なしに、無料でご利用いただけます。引用される際は、このページのURLを用いてください。
接続情報は次の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
アドレス | ntrip.phys.info.hiroshima-cu.ac.jp(165.242.117.17) |
ポート | 80 (TCP) |
形式 | NTRIP version 1 |
ユーザ名 | なし(空欄) |
パスワード | なし(空欄) |
(2) RTCM形式ストリーム
リアルタイムストリームは、RTKなどに用いるためのRTCM 3.2形式と、測位解析などに用いるための受信機に固有な生データ形式とがあります。RTCM形式リアルタイムストリームのマウントポイントは次のとおりです。
マウントポイント | OEM7 | F9P |
---|---|---|
衛星システム | GPS, GAL, GLO, QZS, BDS, IRN | GPS, GAL, GLO, QZS, BDS |
周波数帯 | L1, L2, L5 | L1, L2 |
受信機 | NovAtel OEM729 | u-blox ZED-F9P |
アンテナ座標は、北緯 34.4401061 度、東経 132.4147804 度、楕円体高 233.362 mです。このアンテナ座標は、RTCMメッセージタイプ1005にて、自動設定されるようにしています。この座標は、2021年3月13日から17日にかけて、国土地理院電子基準点「広島2A」を用いて決定した元期座標です。使用アンテナは、Javad GrAnt-G5Tです。
配信RTCMメッセージは次の通りです。
メッセージタイプ | メッセージ内容 | マウントポイントOEM7 | マウントポイントF9P |
---|---|---|---|
1005 | Station coordinates | 1 | 1 |
1019 | GPS Ephemeris | onchanged | onchanged |
1020 | GLONASS Ephemeris | onchanged | onchanged |
1033 | Receiver and antenna descriptor | 1 | 1 |
1041 | NavIC Ephemeris | onchanged | |
1042 | BDS Ephemeris | onchanged | onchanged |
1044 | QZSS Ephemeris | onchanged | onchanged |
1045 | Galileo Ephemeris F/Nav (Free Navigation) | onchanged | |
1046 | Galileo Ephemeris I/Nav (Integrity Navigation) | onchanged | onchanged |
1077 | GPS MSM7 | 1 | 1 |
1087 | GLONASS MSM7 | 1 | 1 |
1097 | Galileo MSM7 | 1 | 1 |
1117 | QZSS MSM7 | 1 | 1 |
1127 | BeiDou MSM7 | 1 | 1 |
1137 | NavIC MSM7 | 1 | |
1230 | GLONASS L1/L2 code bias | onchanged | onchanged |
ここで、数値1はメッセージ間隔が1秒であることを、また、onchangedは受信できた時点での配信を、それぞれ意味します。エフェメリス(ephemeris)とは衛星が報知する衛星座標や時刻などの情報であり、MSM7(Full pseudo-ranges, carrier phases, Doppler and signal strength, high resolution)は観測した衛星信号を表します。
PPP測位に必要なアンテナ位相中心を自動設定するため、メッセージタイプ1033を配信しています。しかし、スペースを含むメッセージを配信できなく、アンテナ名を正しく表現できないため、今の所、この自動設定はできません。
(3) 受信機生データストリーム
NovAtel OEM729、u-blox ZED-F9P、そして、Allystar HD9310オプションCの受信機生データを、リアルタイムストリームにて公開しています。マウントポイントは次のとおりです。
F9PR | CLAS | MADOCA | HAS | |
---|---|---|---|---|
受信機 | ZED-F9P | HD9310C | HD9310C | OEM729 |
信号名 | (multiple) | QZSS L6D | QZSS L6E | Galileo E6B |
生データ名 | UBX-RXM-RAWX UBX-RXM-SFRBX | QZSS L6 Raw (0x10) | QZSS L6 Raw (0x10) | GALCNAVRAWPAGE |
RTKLIB 2.4.3b34のstr2str
と、QZS L6 Toolを利用すると、メッセージ内容を表示できます(参考:自らの観測機器を用いたQZS L6 Toolの利用、Allystar受信機リアルタイム・ストリームの期間限定公開、QZS L6 ToolによるHAS情報観測)。
観測データアーカイブ
OEM729とZED-F9Pの生データストリームを下記アドレスにアーカイブしています。ウェブブラウザや、curl
などのコマンドラインツールにて、データ取得できます。
- OEM729: https://phys.info.hiroshima-cu.ac.jp/gnss/oem7/
- ZED-F9P: https://phys.info.hiroshima-cu.ac.jp/gnss/f9p/
ディレクトリ配置は次の通りです。
YYYYMM/
YYYYMMDDa.gps
YYYYMMDDb.gps
...
YYYYMMDDw.gps
YYYYMMDDx.gps
OEM729生データの拡張子は.gps
、ZED-F9P生データの拡張子は.ubx
にしています。YYYYは西暦、MMは月、DDは日であり、次のaからxまでの英子文字は0時から23時までのコードを表します。
なお、時刻は世界協定時(UTC: coordinated universal time)であり、日本標準時(JST: Japan standard time)よりも9時間だけ遅れています。すなわち、JSTでの8時は、UTCでの前日の23時になります。