みちびき災害・危機管理通報の試験配信と仕様書改訂10版

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災害・危機管理通報の試験配信

準天頂衛星みちびきは、測位や測位精度を高める信号だけでなく、国内災害を伝達する信号も放送しています。この災害・危機管理通報(DCR: disaster and crisis management report)は、誰でも、無料で利用できます。DCR受信は、6,000円程度で購入できるマイコンSpresenseでもできますので、気軽に試せます。

災害はいつ起きるかわかりませんので、重大災害を想定した試験放送が月に1回、行われています。これまでの試験は、11のシナリオを2時間かけて放送されていました

ところが、2022年1月27日の試験放送では、放送時間が1時間35分に短縮されていました。配信情報として「南海トラフ地震」に関するものが削除され、シナリオ数が10に減りました。

インターフェース仕様書

一方、2022年1月24日に、DCRのインターフェース仕様書が10版に更新されました(IS-QZSS-DCR10)。

近年、災害報道がわかりにくいとの声があるようで、「避難準備」が「高齢者等避難」という表現に変わったことがニュースでも報道されています。第10版での更新履歴を確認したところ、このような表現変更が反映されていました。素早い対応です。

また、上述の南海トラフ地震に関するメッセージも一部、変更されていました。メッセージにInformation Serial Codeが追加され、

  • 「調査中A」(評価検討会を開催する)、
  • 「調査中B」(ひずみ計の有意な変化が観測され、臨時評価検討会を開催する)、
  • 「調査中C」(プレート境界固着状態変化が観測され、臨時評価検討会を開催する)、
  • 「巨大地震警戒」、
  • 「巨大地震注意」、
  • 「調査終了」、
  • 「その他」

の区別が伝送されるようになりました。変更点が表にまとめられ、本文変更点が赤でマークされていますので、更新内容がわかりやすいです。気象庁から受信したXMLファイルをもとにDCRメッセージが作成されますので、この更新は気象庁によるものと推測しています。

全体としては大きな変更はありませんでした。南海トラフ地震の通知に対して、災害コードでの伝送ではなく、自由形式での伝送であることには変更はなく、無線信号検出や伝送方法に興味を持つ無線屋の私には、やや物足りない更新ではあります。

しかしながら、小さな受信機で、日本全国の災害情報を月々の支払いなしで入手できるこの仕組みは、大変ありがたいものです。


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