みちびきの災害・危機通報の試験配信

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配信予定

準天頂衛星みちびきは、L1Sチャネルにより、災害・危機通報を放送しています。この通報は、4秒に1メッセージの割合で放送され、250ビットからなる内容を1秒間かけて伝達されます。

本日3月25日の日本時間10:00から12:00にかけて、その試験用データが放送されることになっていましたので、楽しみに待っていました。配信情報の詳細(PDFファイル)にある放送スケジュール(日本時間)は次の通りです。この詳細には、放送されるメッセージ内容も書かれています。

シナリオ番号開始時刻終了時刻試験メッセージ備考
110:0010:05緊急地震速報2019年6月18日発生の山形県沖地震を想定
210:1010:15津波警報2019年6月18日発生の山形県沖地震での注意報を警報とした想定
310:2010:25津波警報解除上述の解除を想定
410:3010:35震度2019年6月18日発生の山形県沖地震を想定
510:4010:45火山阿蘇山噴火を想定
610:5010:55降灰速報阿蘇山噴火を想定
711:0011:05降灰詳細(5通)阿蘇山噴火を想定した18地点情報
811:1011:15気象記録的短時間大雨情報栃木県での大雨情報を想定
911:2011:25洪水氾濫警戒情報鬼怒川を想定
1011:3011:35洪水警報解除上述の解除を想定
1111:4012:00南海トラフ地震(63通)2019年5月18日の気象庁試験配信内容

災害・危機通報は、一つのメッセージ単位がヘッダを含め250ビットしかありません。しかし、今回のシナリオ11を除き、あらかじめプリセットされた文字列の番号が配信されるので、想定される災害については多くの内容を伝送することができます。

同一メッセージがくり返して配信されるため、移動受信などで情報受信に欠落が生じても、正しく受信できることが期待できます。

試験中でも、試験でない配信が必要になる可能性があります。この試験配信では、優先や通常の区分の配信と混在して配信される可能性があるとアナウンスされていました。

シナリオ1(緊急地震速報)

試験配信開始前から、既に海上濃霧警報が三陸沖から能登半島沖に出ていました。この試験でない配信と混在して、試験配信が始まりました。

メッセージには送出時刻のタイムスタンプがありません。そこで、私はGNSS時刻にて、メッセージ送出時刻を観測しました。私のところで最初にキャッチしたシナリオ1の配信時刻は10:01:17でした。

災危通報(緊急地震速報)
強い揺れに警戒してください。

発表時刻:3月25日10時0分

震央地名:山形県沖
地震発生時刻:25日10時0分
深さ(km):10
マグニチュード:6.8
震度(下限):震度6弱
震度(上限):~程度以上
岩手
宮城
秋田
山形
福島
新潟
東北
北陸

最終メッセージの受信時刻は10:06:13でした。

シナリオ2(津波警報)

10:11:17に最初の通報をキャッチしました。

災危通報(津波)
津波警報を発表しました。
<津波警報>
 津波による被害が発生します。
 沿岸部や川沿いにる人はただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。
 津波は繰り返し襲ってきます。警報が解除されるまで安全な場所から離れないでください。

発表時刻:3月25日10時10分

津波到達予想時刻:10時10分
津波の高さ:3m
山形県

津波到達予想時刻:10時10分
津波の高さ:3m
新潟県上中下越

津波到達予想時刻:10時10分
津波の高さ:3m
佐渡

津波到達予想時刻:10時10分
津波の高さ:3m
石川県能登

最後の確認した通報の時刻は10:16:09でした。

シナリオ3(津波警報解除)

最初の通報を10:21:17に確認しました。

災危通報(津波)
警報解除を発表しました。
今後もしばらく海面変動が続くと思われます。

発表時刻:3月25日10時20分

津波到達予想時刻:10時20分
津波の高さ:3m
山形県

津波到達予想時刻:10時20分
津波の高さ:3m
新潟県上中下越

津波到達予想時刻:10時20分
津波の高さ:3m
佐渡

津波到達予想時刻:10時20分
津波の高さ:3m
石川県能登

確認した最後の通報の時刻は10:26:17でした。

シナリオ4(震度)

最初の通報時刻は10:31:17でした。

災危通報(震度)
25日10時30分ころ、地震による強い揺れを感じました。

発表時刻:3月25日10時30分

震度6弱:山形県
震度5強:新潟県
震度4:岩手県
震度4:宮城県
震度4:秋田県
震度4:福島県

最後の通報時刻は10:36:09でした。

シナリオ5(火山)

最初の通報時刻は10:41:17であり、最後の通報時刻は10:46:09でした。

災危通報(火山)

発表時刻:3月25日10時40分

火山名:阿蘇山
日時:25日10時40分
現象:噴火
熊本県阿蘇市
熊本県高森町
熊本県南阿蘇村

シナリオ6(降灰速報)

最初の通報時刻は10:51:17であり、最後の通報時刻は10:56:13でした。

災危通報(降灰)

発表時刻:3月25日10時50分

降灰予報(速報)
火山名:阿蘇山
日時:25日10時50分

基点時刻からの時間:1時間
現象:少量の降灰
熊本県阿蘇市

基点時刻からの時間:1時間
現象:少量の降灰
熊本県高森町

基点時刻からの時間:1時間
現象:少量の降灰
熊本県南阿蘇村

シナリオ7(降灰詳細)

降灰詳細は1通あたり最大4地点の情報を含むことができます。今回の配信では18地点を想定していて、5通に分けて伝送されました。1通目は11:01:17に届きました。

災危通報(降灰)

発表時刻:3月25日11時0分

降灰予報(詳細)
火山名:阿蘇山
日時:25日11時0分

基点時刻からの時間:1時間
現象:やや多量の降灰
熊本県阿蘇市

基点時刻からの時間:1時間
現象:やや多量の降灰
熊本県高森町

基点時刻からの時間:1時間
現象:少量の降灰
熊本県南阿蘇村

基点時刻からの時間:2時間
現象:少量の降灰
熊本県阿蘇市

その4秒後の次の配信には2通目が届きました。時刻は11:01:21です。

災危通報(降灰)

発表時刻:3月25日11時0分

降灰予報(詳細)
火山名:阿蘇山
日時:25日11時0分

基点時刻からの時間:2時間
現象:少量の降灰
熊本県高森町

基点時刻からの時間:2時間
現象:少量の降灰
熊本県南阿蘇村

基点時刻からの時間:3時間
現象:少量の降灰
熊本県阿蘇市

基点時刻からの時間:3時間
現象:少量の降灰
熊本県高森町

さらにその4秒後には3通目が届きました。時刻は11:01:25です。

災危通報(降灰)

発表時刻:3月25日11時0分

降灰予報(詳細)
火山名:阿蘇山
日時:25日11時0分

基点時刻からの時間:3時間
現象:少量の降灰
熊本県南阿蘇村

基点時刻からの時間:4時間
現象:少量の降灰
熊本県阿蘇市

基点時刻からの時間:4時間
現象:少量の降灰
熊本県高森町

基点時刻からの時間:4時間
現象:少量の降灰
熊本県南阿蘇村

さらにその4秒後に4通目が届きました。時刻は11:01:29です。

災危通報(降灰)

発表時刻:3月25日11時0分

降灰予報(詳細)
火山名:阿蘇山
日時:25日11時0分

基点時刻からの時間:5時間
現象:少量の降灰
熊本県阿蘇市

基点時刻からの時間:5時間
現象:少量の降灰
熊本県高森町

基点時刻からの時間:5時間
現象:少量の降灰
熊本県南阿蘇村

基点時刻からの時間:6時間
現象:少量の降灰
熊本県阿蘇市

次のフレームで最後の5通目が届きました。時刻は11:01:37です。

災危通報(降灰)

発表時刻:3月25日11時0分

降灰予報(詳細)
火山名:阿蘇山
日時:25日11時0分

基点時刻からの時間:6時間
現象:少量の降灰
熊本県高森町

基点時刻からの時間:6時間
現象:少量の降灰
熊本県南阿蘇村

以下、1通目と同じ内容(11:01:41)、2通目と同じ内容(11:01:45)、3通目と同じ内容(11:01:49)と続きましたが、その次のフレームには試験でない「海上風警報」が続きました(11:01:53)。続くフレームでは試験が再開され、4通目(11:01:57)、5通目が放送されました(11:02:01)。途中に他のメッセージが挿入される可能性はありますが、この一連メッセージの順序は入れ替わらないようです。11:06:09に放送された5通目でこのシナリオが終了しました。

その後、海上濃霧警報が2通と、海上風警報が1通が繰り返し放送されていました。

シナリオ8(気象)

最初の通報配信は11:11:17でした。最後の通報配信は11:16:09でした。

災危通報(気象)

発表時刻:3月25日11時10分

記録的短時間大雨警報:栃木県

この試験通報が14通、続いたのちに、試験でない海上濃霧警報が1通ありました。その後に試験通報が4通あり、別の海上濃霧警報が1通ありました。このシナリオは11:16:09の通報を最後に終了しました。

シナリオ9(洪水警戒)

海上濃霧警報3通がくり返し配信される中、シナリオ9の試験配信を11:21:17に観測しました。最後の試験配信は11:26:09でした。

災危通報(洪水)

発表時刻:3月25日11時20分

氾濫警戒情報:鬼怒川(栃木県・茨城県)

シナリオ10(洪水警報解除)

最初の通報配信は11:31:17、最後の通報配信は11:36:09でした。

災危通報(洪水)

発表時刻:3月25日11時30分

警報解除:鬼怒川(栃木県・茨城県)

シナリオ11(南海トラフ地震)

この通報配信は自由形式である一方、災害・危機通報では4秒ごとに6文字しか伝送できないので、どのように伝送するのか興味深いです。

元の文章は次の通りです。

***これは訓練です***ロロロロロロ南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)**ロ見出しロ**ロ本日(●日)●時●分頃に●●●●●●を震源とするM●.●の地震が発生しました。この地震と南海トラフ地震との関連性について検討した結果、この地震は南海トラフ地震の想定震源域のプレート境界のうち、●●●●●●から●●●●●●にかけての領域で発生したものと考えられます。ロ南海トラフ地震の想定震源域のうち、今回の地震の震源域とならなかった●●●●●●から●●●●●●にかけての領域でも、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられます。今後の政府や市町村からの情報に注意してください。**ロ本文ロ**ロ本日(●日)●時●分に、●●●●●●を震源とするM●.●の地震が発生しました。その後の地震活動は活発な状態が続いています。また、東海地域のひずみ観測点では、M●.●の地震に伴う変化(とそれに引き続くゆっくりとした変化)が観測されています。ロ気象庁では、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会、地震防災対策強化地域判定会を臨時に開催し、この地震と南海トラフ地震との関連性について検討しました。——–【途中省略】——–ロ今後の政府や市町村からの情報に注意してください。ロ気象庁では、引き続き注意深く南海トラフ沿いの地殻活動の推移を監視します。ロ今後は、「南海トラフ地震関連解説情報」で地震活動や地殻変動の状況等を発表します。次回の情報発表は、●●時頃を予定しています。ロなお、新たな変化を観測した場合には随時発表します。※この情報は従来の「南海トラフ地震に関連する情報(臨時)」に用いている電文を活用して発表しています。***これは訓練です***

長いですね。この伏字●もそのまま伝送されます。この試験配信では先頭の378文字を伝送することになっています。すなわち、通報全体が63フレームの4分12秒にわたる試験配信です。

最初のフレームを11:41:17に観測しました。

災危通報(南海トラフ地震)(1/63)

発表時刻:3月25日11時40分

***これは

次のフレーム(時刻11:41:21)は次の通りです。

災危通報(南海トラフ地震)(34/63)

発表時刻:3月25日11時40分

今回の地震の

なんとメッセージが連続していません。続いて35通目、36通目、試験配信でない海上風警報が1通あり、続いて試験配信37通目、38通目、39通目、40通目と続きました。

時刻11:43:37に61通目が配信された後、48通目が配信され、次に62通目が配信されました。したがって、自由形式ではユーザ側でメッセージを蓄積して、ページ番号Pnフィールドの内容を元に並べ替えを行う必要があります。詳細PDFファイルにも「実際は順不同に配信されます。」と書かれていました。

最後に

災害・危機通報の試験通報を受信できて、より良い受信方法を考えるきっかけになりました。感謝しております。

地上ディジタルテレビで放送される緊急警報放送の試験放送は、試験でない緊急警報放送と同様に、人間が手動で挿入しているそうです。毎月、1日の午前11時59分に1分間、放送することになっているので、私は番組編成システムから自動で送出されるものと思っていましたが、そうではないようです。

みちびきの災害・危機通報は、気象庁からの情報がそのまま放送されるようです。一方、今回の試験通報では、予定時刻よりも1分程度だけ遅れて配信されています。今回の試験通報は、人間が手動で挿入されたのか否か、機会があればみちびき関係者に聞いてみたいです。


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