GNSS受信機MA-10PとDGM10-PPP
はじめに
久しぶりに新しいGNSS受信機を導入しました。DATAGNSSが販売するMA-10PとDGM10-PPPです。いずれも、準天頂衛星システム「みちびき」の高精度測位サービスCLASに対応しており、単体で高精度測位を行い、その結果を標準的なNMEA 0183形式で出力できます。

かつて、同社が販売していたHD9310オプションC内蔵受信機は、今でも活用しています。この受信機にも、とても期待しています。
MA-10PとDGM10-PPP
MA-10PとDGM10-PPPの大きな違いは、アンテナの有無です。DGM10-PPPは、アンテナの中に受信機が入った一体型です。
GNSSの測位信号に外部の情報を組み合わせて、測位精度などを向上させることを「補強」と呼びます。測位信号と補強信号の受信機能を1つのモジュールにまとめた構成もあれば、それぞれを別のモジュールで受信する構成もあります。今回の2機種は、ともにGNSS受信モジュールD10Pと、みちびきの補強情報を受信するモジュールQZS-6Cを内蔵しています。アンテナからの信号は、内部のスプリッターで分岐して、この2つのモジュールに供給されます。
みちびきの高精度測位向けの補強サービスには、CLAS(シーラス)とMADOCA-PPP(マドカ・ピーピーピー)があります。このうち、CLASは日本国内に特化したサービスです。今回の2機種には、それぞれCLAS版とMADOCA-PPP版があり、ラインアップは次の4通りです。私が購入したのは、どちらもCLAS版です。
| 対応補強信号 | アンテナなし | アンテナあり |
|---|---|---|
| CLAS | MA-10P CLAS | DGM10-PPP CLAS |
| MADOCA-PPP | MA-10P MADOCA/PPP | DGM10-PPP MADOCA/PPP |
届いたMA-10Pは、みちびき6号機に対応したMA-10P V2(MA10P-V2-CLAS)で、ケースに収められていました。
DGM10-PPP CLAS
DGM10-PPP CLAS本体の大きさは、幅65 mm、奥行き65 mm、高さ25 mmです。外観ではCLAS版とMADOCA-PPP版の区別がつかないため、ラベルを貼りました。
本体には約3 mのケーブルがついており、その先端にはJSTの6ピンコネクターがあります。PCのUSB-C端子に接続するためのシリアル変換基板も付属しています。

本体からの6本の線には、電源と2組のシリアル通信用の送受信線(M1とM2)を示すラベルがついていました。M2の送信側が未接続になっていることから、M1はD10Pに、M2はQZS-6Cに接続されているのではないかと推測しています。ただ、このシリアル変換基板をPCに接続したところ、認識されたシリアルポートは1つだけでした。QZS-6Cの補強情報も観測できると期待していたので、やや残念です。電源電圧は5 Vでした。
本体の裏面には3つの磁石がついていました。上記の製品ドキュメントでは、本体を100 mm四方のアース板の上に置くことが推奨されています。

本体を窓際に置き、シリアルポートを230400ボーに設定すると、NMEA 0183メッセージが表示されました。
今後、JSTコネクターの2系統のシリアル通信の内容を調べてみようと思います。
MA-10P
一方、MA-10P V2はアンテナを外付けするタイプで、Wi-FiとBLEのインターフェースを備えています。Wi-Fi経由でアクセスできるウェブインターフェースもありました。バージョン1と比べて、バージョン2では基板も変更されているようです。また、DGM10-PPPと同様に、JSTの6ピンコネクターもありました。

MA-10P本体には、ボタンが2つ(現在は機能が割り当てられていません)と、LEDが3つあります。アンテナを本体に接続し、本体のUSB-C端子をPCにつなぐと、PC側で2つのシリアルポートが認識されました。通信速度は、メインポートが230400ボー、サブポートが115200ボーです。メインポートでは、NMEA 0183メッセージを確認できました。

PCをWi-FiアクセスポイントNANO_RTKに接続し、ブラウザーでhttp://192.168.4.1/を開くと、ウェブインターフェースが表示されました。DATAGNSSのNANO RTK Receiverと共通化されているようです。

GNSSタブの表示内容は次のとおりです。このタブでは設定を変更できないようでした。

Settingsタブでは、Wi-Fiアクセスポイントの設定ができるようです。TCPサーバーの項目をクリックし、PCでnc 192.168.4.1 9009を実行して接続すると、NMEA 0183メッセージが表示されました。

Systemタブには、起動時間、モデル名、CPU使用率、温度などが表示されていました。

画面上部のWizardをクリックすると、Advanced Settingsメニューが表示されました。

このメニューで設定すると、NMEA 0183メッセージをサブポートにも出力できました。ただし、サブポートからもQZS-6Cの補強情報は出力されないようです。
しばらくすると、LED表示からフィックス状態になったことを確認できました。今後はWindows PCで公式ソフトウェアSatrackを使い、いろいろと試してみたいと思います。また、MA-10Pについても、JSTコネクターのシリアル通信の内容を調べる予定です。
まとめ
DGM10-PPPとMA-10PのCLAS版を試してみました。どちらも単体でCLASによる高精度測位ができる点が魅力です。まだ測位精度などは確かめていませんが、今後はさまざまな条件で両機種を使い、測位性能やJSTコネクターのシリアル通信の内容を調べていきたいと思います。
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