準天頂衛星システムサービス株式会社からの「みちびき」対応受信機の借用

「みちびき」対応受信機

日本の内閣府が運用している測位衛星準天頂衛星システム(愛称「みちびき」)が放送する信号は、GPSが放送する信号との互換性があります。このような従来の信号を活用しながら、さらに精度や信頼性を高めることを補強(augmentation)と表現します。「みちびき」では、次の補強信号を放送しています。

内閣府のみちびきホームページに、その高精度測位信号の受信機の貸し出し制度が公表されています。そこで、その受信機の貸し出し先である準天頂衛星システムサービス株式会社に借用を申請しました。借用を申し込んだ受信機は次の通りです。

  1. NEC QZ1 LE(サブメータ級測位信号受信機, L1S)
  2. 三菱電機 AQLOC(センチメータ級測位信号受信機, L6D)
  3. Javad ALPHA G3T+GrAnt3(多周波測位信号受信機)
  4. 日本アンテナ PA-L1(N)-L2(2周波アンテナ, L1, L2)

QZSS receiver rental

このなかで「みちびき」の補強信号の効果を一番実感できる機材は、L6D信号のCLASを受信できるAQLOCです。これは人気が高いようでして、貸出は6ヶ月間待ちで、貸出期間も1週間でとのことでした。

L6E信号のMADOCAを受信できる機器はないようです。

現在借用して、手元にある機材は、1, 3, 4です。QZ1 LEは手軽に「みちびき」のSLAS高精度測位信号を試すことができます。

Alpha G3Tは、オプションにより観測できる内容が変わります。このAlpha G3Tには、GPS L1 L2 L5、GLONASS、みちびき(QZSS)、マルチパス低減、キャリヤ位相などのオプションがついている一方、BeiDouやGALILEOやNTRIP ServerやRTKのオプションはついていないようです。リアルタイムでの観測よりも、後処理での利用を意図しているようです。GPSとQZSSの3周波測位など、まだ、私の見たことのない世界が待っていて、評価実験を楽しみにしています。

PA-L1(N)-L2の開発元である日本アンテナは、私自身の卒業研究テーマ「1 GHz帯円形マイクロストリップアンテナ」で大変お世話になった会社です。ご担当の方々には、会社の設備でたくさんのアンテナを快く作成させてくださっただけでなく、学園祭のときにはネットワークアナライザを貸してくださり、私を育ててくださいました。あれから約30年が経った今、その会社の新しいGNSSアンテナの試作品を手にすることができて、とても嬉しいです。

貴重な数々の機材を貸していただき、とてもありがたいことです。

サブメータ級測位L1S信号を用いた実験

取り急ぎ、上述のQZ1 LEをBluetooth経由でiPhoneに接続して、専用ソフトウェアGNSS Analyzerをインストールしました。この機材を公園に持ってゆき、GNSS電波を観測してみました。

QZ1 LE at a park

その結果は下記の通りです。

GNSS Analyzer results

一部データの秘匿処理を行ったことをご了承ください。この出力には、iPhoneでの測位結果と、QZ1 LEでの測位結果の両方が示されています。この画面の上部には、補強状態であることが示されていますが、スカイプロットに「みちびき」の衛星番号が表示されていないので、私の使い方が間違っているかもしれません。

設定画面での測位衛星として、GPS、QZSS、GLONASSの3衛星群が選択できます。QZSSの選択を外すと、上部に表示されていた補強情報が表示されなくなりましたので、QZSS選択状態では「みちびき」からの補強情報を受信しているようです。GLONASSを選択しても、その衛星番号は表示されませんでした。スカイプロットや受信状態表示がすべての受信衛星を表示していないのかもしれません。今後、色々と試してみたいと思います。

なお、この受信機は、L1S信号に含まれる災害・危機管理通報サービス情報も受信できるようでして、こちらも試してみたいと思います。

作成日: 1st December 2018