測位航法学会全国大会への参加
大会は、セミナー、特別講演会、研究発表会からなります。1日目と2日目開催のセミナーとして、初心者向けGNSS入門講座(久保信明先生)、GNSS信号処理概要とSDRによる測位実習(鈴木太郎先生)、衛星測位と地図情報(細井幹広様)に参加しました。測位計算の実際、信号ドップラの応用、ソフトウェア無線機を用いた衛星電波受信と測位計算の実習、地殻変動を考慮した座標決定のセミダイナミック補正を学んできました。近いうちに、私のGNSS基準局にも取り入れたいと思います。
3日目に開催された研究発表会では、RTKなどの測位方法、ロボットカーなどの測位応用、電子基準点や地殻変動、宇宙電波監視や重力マッピングなどの研究成果を聴講しました。
また、午後の特別講演会では、QZSS7機に向けた動向の紹介がありました。現在まで、QZSSはGPS放送信号と同等の信号を放送して、GPSと一体して測位計算することが可能です。さらに、QZSSにはMADOCAやCLASやSLASなどの補強信号の送信、緊急情報の伝達、安否情報の伝達の機能がある点で優れています。しかしながら、新衛星では最も広く利用されるL1C/A信号放送の取りやめと独自代替信号(L1C/B信号)の放送、L2C信号放送の取りやめ、などが発表されました。GPS信号との干渉や費用の観点から、仕方のない決断とのことでした。QZSSはJAXAの手を離れ内閣府の管理になりましたが、JAXAの次世代高精度測位システムの研究では、内閣府とは別に「誤差源ごとの誤差配分」「複数衛星の同時投入」「衛星軌道の置換」の研究を進めるとのことでした。帰りの飛行機の時間が迫り、聴きたかったChronosphere LSIの開発やMEO確率的選択のお話を聴けませんでした。
大会2日目の木曜日は、東京海洋大学内の明治丸記念館の開館日なので、昼食時間中に記念館散策をしました。
記念館は2階建です。1階は主に船舶エンジンが、2階には航法機器などが展示されています。説明員の方から「2階にデッカの送信機がありますよ」とお声がけいただき、胸を踊らせて2階にあがりましたら、ありました。これはデッカ送信機ラックです。
右から、「制御器」「監視切り替え装置」「送信機」です。またデッカ運用卓もありました。
ほかにも茨城県波崎で運用していたロランAの送受信機、方向探知アンテナ、衝突回避のための見合関係計算機、各種六分儀など、興味深い機器がたくさん展示されていました。