日本航海学会GPS/GNSS研究会 秋季見学会・講演会(海上保安大学校)

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海上保安大学校

日本航海学会GPS/GNSS研究会では、年に2回、見学会と講演会を開催しています。今年の春には、みちびき神戸主管制局の見学会・講演会に参加させていただき、準天頂衛星みちびきのバックヤードの一端を知ることができました。

今回の秋季見学会・講演会は、GPS/GNSS研究会と航空宇宙研究会の合同で、広島県呉市にある海上保安大学校で開催されました。ここは、映画「海猿」の舞台にもなった場所ですので、とても楽しみにしていました。私は、広島市に住んでいて、その隣になる呉市には何度も訪れていますが、海上保安大学校への訪問は初めてでした。

Japan Coast Guard Academy

海上保安資料館海上保安シミュレーションセンター、潜水プールの順にご案内いただきまして、その後に講演会会場に向かいました。

海上保安資料館

Japan Coast Guard Academy Museum

1980年の海上保安庁創設30周年記念事業の一環として、この2階建ての資料館が整備されたそうです。多くの貴重な資料が展示されているだけでなく、2001年12月の不審船事件で銃撃された巡視船「あまみ」の一部が展示されています。

資料館に入ってすぐのところには、映画「海猿」に関するマニアックなグッズが展示されています。

Japan Coast Guard Academy Museum

不審船対策や防疫のために、戦後すぐに海上保安庁が開庁したこと、軍隊としての性質を持たないように苦労したこと、誇りを持って任務にあたっていたことなどを展示品とともにご説明いただきました。

Japan Coast Guard Academy Museum

海上保安庁の巡視船、航空機、ヘリコプターの模型がたくさん展示されています。

Japan Coast Guard Academy Museum

そして、これが砲撃を受けた巡視船「あまみ」の船橋前面です。窓は粉々になり、船体には多くの砲弾跡がありました。

Japan Coast Guard Academy Museum

ほかにも、昔、使われていたガスランプや、いかだ、標識が展示されています。

2階に上がって、すぐのところに、日本初の軽合金製巡視船「あらかぜ」の実物の断面があります。巡視船は、軍隊ではないので、12ノットの速度制限が課せられています。しかし、この巡視船は、鋼鉄製でないために、高速航行が可能でした。のちの解体の際にも、損傷や腐食がなかったことがわかりました。また、丁寧に作られているところが見どころです。

Japan Coast Guard Academy Museum

日本で初めての南極観測船「宗谷」の展示もありました。日本の初めての南極観測に関する映画「南極物語」にも宗谷が登場していて、多くの昔の人に馴染み深いと思います。そのときに生き残った2匹の犬の銅像が、かつて東京タワーの入口にありました。宗谷は海上保安庁の船だったのです。

Japan Coast Guard Academy Museum

昔の海上保安庁のさまざまなポスターも展示されています。これは1950年のポスターです。海上保安庁のかつての英文名はMaritime Safety Agencyだったようです。

Japan Coast Guard Academy Museum

捜索用ラジオブイがありました。最初、これはEPIRB(非常用位置指示無線標識装置、Emergency Position Indicate Radio Beacon、イーパブと読みます)かなと思いました。周波数1972.5 kHz、電波形式A1(CW: continuous wave)、空中線出力10 Wです。1966年10月製造です。お宝ですね。

Japan Coast Guard Academy Museum

また、日本電気製の昔の無線機や、荒天時にレーダに発見されやすくするためのレーダレフレクタも展示されていました。

Japan Coast Guard Academy Museum

また、1961年から1981年まで運用していたマイクロ波ロータリービーコンもありました。すごいお宝です。

Japan Coast Guard Academy Museum

これは、日本で最初に輸入したデッカ受信機の実物です。まだGPSがなかった頃に、電波受信により自らの位置を推定する装置です。これもすごいです。

Japan Coast Guard Academy Museum

この資料館は、無線マニアにとってのお宝がたくさんあって、とても楽しかったです!

海上保安シミュレーションセンター

この海上保安シミュレーションセンターは、操船訓練のための施設です。

Japan Coast Guard Academy Simulation Center

操船室を模擬した部屋に入ると、景色が映し出された巨大スクリーンがあり、また、動作する計器がありました。部屋の中では、海面による揺れを感じました。実際には、景色のみが揺れていて、部屋にモーションはついていないそうです。

Japan Coast Guard Academy Simulation Center

景色の動きに合わせて、レーダ表示も変化しました。雨のシナリオでは、前方が見にくくなるだけでなく、レーダ画面上全体にクラッタ(不要反射波)による細かい点が映し出されていました。このレーダ画面にはAIS(automatic identification system、GPSにて計測した座標や進行方向を電波で周囲の船舶に知らせる装置)の機能もありました。このレーダには古野電気のロゴがありました。

Japan Coast Guard Academy Simulation Center

バックヤードも見ることができました。巨大スクリーンとプロジェクタから構成されています。すごいです。

Japan Coast Guard Academy Simulation Center

潜水プール

次に訪れた場所は、映画「海猿」にて主人公が訓練で、そして卒業のときにみんなで飛び込んだ、潜水プールです。浅いところで1.5メートル、次のところで3メートル、一番深いところで5メートルの水深があるそうです。おもりを持って泳ぐ訓練もするそうです。試しに、その20キログラムのおもりをもってみました。本当に重いです。

Japan Coast Guard Academy Training Pool

実は、このプールは映画の後に建て替えられたものです。当時プールのあった場所は、現在は駐車場になっています。

Japan Coast Guard Academy Training Pool

海上保安大学校煉瓦ホール(講演会会場)

有形文化財でもあるホールにて、今回の講演会がありました。

Japan Coast Guard Academy Training Pool

歴史のあるレンガの建物に入ります。

Japan Coast Guard Academy Training Pool

天井や壁は当時のものが残されています。

Japan Coast Guard Academy Training Pool

さらに進むと、綺麗なホールがありました。

Japan Coast Guard Academy Training Pool

ここで30分間の講演をしたのですが、見学会が素晴らしくて、講演のことはよく覚えていません…。

Presentation material for JIN GPS/GNSS lecture on Nov. 2022

大変素晴らしい機会をいただき、感謝しております。