DC/DCコンバータ4種の実験

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IoT機器には優れたDC/DCコンバータが必要

例えば、コイン電池で5 V動作のマイコンや無線機を駆動するためには、3 V直流(DC: direct current)を5 V直流に変換する機器が必要です。さらに、電源電圧を変換するこのようなDC/DCコンバータ自体もまた電力を消費します。独立した電源で動作させることの多いIoT(Internet of Things)機器には、優れたDC/DCコンバータが必要です。

coin battery

近年では、様々な個性を持つDC/DCコンバータが登場しました。今回、個性的な4種類のDC/DCコンバータを試してみました。

LMR562421

テキサスインスツルメンツのLMR562421は、低い入力電圧から最大24 Vの高い電圧を出力できる、昇圧に特長のあるDC/DCコンバータです。

仕様にある入力電圧範囲は2.7 Vから5.5 V、出力電圧範囲は2.5 Vから24 Vです。代表変換効率は90 %、代表出力電力は9 Wです。

実験には、電流制限付きの実験用電源1台、電圧・電流測定器2台、そして、電子負荷を用いました。

LMR62421

図の右から左に向かって、入力電圧電流計、DC/DCコンバータ、出力電圧電流計、そして、電子負荷のそれぞれを配置しました。実験用電源はこの写真にはありません。

このときの入力電圧は4.93 Vであり、入力電流は212.5 mAなので、入力電力は1.05 Wでした。一方、その出力電圧は14.98 V、出力電流は60.0 mAでしたので、出力電力は899 mWでした。したがって、変換効率は86%と見積もられます。

この電圧電流計は、内部で直列に接続された100ミリオームの抵抗の電圧降下により電流を測定していますので、1アンペアにつき100ミリボルトの電圧降下が生じます。また、電圧電流計の仕様から、入出力にUSBコネクタを使用しますので、その配線による損失も考えられますので、この変換効率は低く見積もられます。また、DC/DCコンバータへの電圧入力、DC/DCコンバータからの出力電圧、また、電子負荷への電流値も変更可能であり、それらによって変換効率が変わる可能性もあります。そのため、この値は参考値です。

この出力電圧電流計の表示値と、電子負荷の電圧電流表示値とがやや異なりました。マルチメータで電圧を測定したところ、電圧電流計の表示値の方が正しいようです。この電子負荷には、指定した一定電流の負荷をかけるCC(constant current)モードと、指定した一定抵抗値(constant registance)モードとがありますが、今回はCCモードを使いました。

LTC3111

リニアテクノロジのLTC3111は、2.5 Vから15 Vの幅広い範囲で電圧を昇降圧できることに特長があります。入力電圧範囲が2.5 Vから15 V、出力電圧範囲も2.5 Vから15 Vです。最大1.5 Aの出力が可能です。過熱保護、また過電流保護機能もあります。

このDC/DCコンバータは最小2.1 Vの電圧から起動できますが、外部抵抗によりこの電圧を変更できます。リチウム電池1セルの放電終了電圧(2.5 V)に設定すると、電池の過放電を防ぐことができて、便利です。

LTC3111

この測定では、入力電力が946 mW、出力電力が870 mWであり、変換効率は91%でした。

OKL-T6-W12C

村田製作所のOKL-T/6-W12Cは、電圧の降圧、最大6 Aの大電力出力、および負荷変動に対する高速追従に特長があります。入力電圧範囲が4.5 Vから14 V、出力電圧範囲が0.9 Vから5.5 Vです。また、短絡や出力電流保護、過熱保護機能もあり、安心して利用できます。

OKL-T6-W12C

この入力電力は664 mW、出力電力は405 mWであり、変換効率は61%でした。このDC/DCコンバータにとって、入力電圧が低く、出力電圧が高く、また負荷が軽いなど、不利な条件だったかもしれません。

TPS7A4700

テキサスインスツルメンツのTPS7A4700は、1.4 Vから20.5 Vまでの広い出力電圧範囲を100 mV単位でディジタル設定できることと、出力雑音が4.17マイクロボルトと低いことに特長があります。入力電圧範囲も3 Vから35 Vまで広くて便利です。最大出力電流は1 Aです。電流制限や過熱シャットダウン機能も備え、安心して利用できます。

TPS7A4700

このときの入力電力は508 mW、出力電力は310 mWであり、変換効率は61%でした。

おわりに

今まで、電子工作には7805などの電圧降下分を熱にするドロップ型DC/DCコンバータか、そうでなければ手軽なAC電源アダプタを利用してきましたが、今回の実験でスイッチング型DC/DCコンバータの進化をみました。

今回の実験では、過電圧入力や過負荷に注意していたために、DC/DCコンバータの本来性能の発揮については、注意が及びませんでした。

今後、これらのデバイスを活用してゆきたいと思います。