u-blox ZED-F9P新ファームウェアHPG1.32公開
はじめに
安価でありながらも、L1帯とL2帯の測位衛星信号を受信できるu-blox ZED-F9Pを楽しく使っています。先日、ホームページを確認したら、新ファームウェアが2022-05-12付けで公開されていましたので、早速、適用しました。
ファームウェアバージョンHPG1.32
u-blox ZED-F9P moduleページの下の方にある「Documentation & resources」をクリックすると、ファームウェアやリリースノートをダウンロードできます。下の方に「Load more」ボタンがありまして、これを何回か押さないと、必要なファイルがダウンロードできないかもしれません。
ZED-F9P FW 1.00 HPG 1.32 Release Note(2022-03-03公開)によると、前のファームェアHPG1.30からの差分はあまり多くはなく、有料購読オプションのSPARTNのものがほとんどです。
しかしながら、
When QZSS L1S is enabled, QZSS L1 C/A reports now correct ‘Half cycle validity’ information in UBX-RXM-RAWX
との記述がありました。これはとても嬉しいです。
今まで、ZED-F9PのL1S受信機能をオンにすると、受信機モニタ(RXM: receiver monitor)の拡張生データ(RAWX: extended raw)出力にサイクルスリップが多発するいわれていました。
そのため、私は、RTK基準局公開のためのZED-F9Pと、L1S信号の災害・危機管理通報(DCR)受信用のZED-F9Pをわけていました。このファームウェア更新により、これらを一つにまとめることができそうです。自由になったZED-F9Pを自家用車に常置しようと計画しています。
ネットワーク越しのZED-F9Pファームウェア更新
今までは、ファームウェア更新のために、観測ボックスから機器を取り外してWindows PCに接続しなおしてきました。ファームウェア更新には、サポートソフトウェアであるu-centerを利用します。
今回、高須先生の日記(2019-03-27)にある方法を自己責任でチャレンジしました。ポイントは、ボーレートを38400 bpsに変更することと、u-centerの「Enter safeboot before update」をオフにすることです。
私は、リモート観測用のために、ZED-F9PモジュールをRaspberry Pi 3Bに接続しています。普段はボーレートを230400 bpsにしていますが、これを38400 bpsにしました。RTKLIB 2.4.3b34のCLI(command line interface)版を利用しています。次の例は、シリアルポート/dev/ttyF9P
をTCP IPポート2000番に接続するものです。ZED-F9PのUSBポートはボーレートを自動判定するようですので、特にZED-F9P側の設定変更はしていません。
str2str -in serial:///dev/ttyF9P:38400 \
-out tcpsvr://:2000 \
-b 1 \
> /dev/null 2>&1 < /dev/null &
そして、u-centerをこのポートに接続して、「Enter safeboot before update」のチェックボックスを外し、ファームウェアバージョンHPG1.32のファイルを指定して、画面下にある緑色のGoボタンを押します。
失敗したら使えなくなってしまいますので、最初は緊張しましたが、あっさりとリモートアップグレードに成功しました。私の持っている3台のZED-F9Pをすべてこの方法でアップグレードしました。
チャレンジは自己責任でお願いします。