みちびきQZNMAとGalileo HASのはじまり
衛星測位の大ニュースが同日に発表されました
日本の準天頂測位衛星システムみちびき(QZSS: quasi-zenith satellite system)と、欧州の測位衛星システムGalileoについてのニュースが発表されました。
みちびき QZNMA
みちびきの航法メッセージ認証QZNMA(quasi-zenith satellite navigation message authentication)のインターフェース仕様書(ICD: interface control document)IS-QZSS-SAS-001ドラフト版が2023-01-24にアナウンスされました。QZNMAは、受信した測位衛星放送メッセージが正しいことを利用者が検証できるようにするために提供される認証メッセージです。QZNMAは、2023年7月にみちびきから試験配信され、2024年4月にサービスが開始される予定です。
このICDによると、QZNMAによる航法メッセージ認証の対象信号は、広く用いられるL1 C/A信号、その後継信号L1 C/B信号、これからの信号L1C信号、そして別周波数L5信号の4種類です(p.5, Table 3-1)。これまでに10年半の間、活躍し、現在は待機運用中のみちびき1号機もこの認証対象に含まれています。認証メッセージは、それぞれの航法メッセージの一部にて放送されます(p.9, Table 4-1)。
一方、QZNMAは、アメリカのGPS(global positioning system)衛星のL1 C/A信号、L1C信号、L5信号や、欧州のGalileo衛星のE1b信号やE5a信号にて送信される航法メッセージに対する認証も提供します(p.5, Table 3-2)。これらの航法メッセージに対する認証メッセージについては、みちびきの測位精度を高める信号の一つMADOCA-PPP(Multi-GNSS Advanced Orbit and Clock Augmentation - Precise Point Positioning、マドカピーピーピー)とともにL6E信号にて放送されます(p.9, Table 4-1)。
これから、QZNMA ICDを詳しくみてみようと思います。みちびき航法メッセージ生データ(未加工データ)の解読とQZNMAデコーダ作成にチャレンジしてみます。
GPSやGalileoに対するQZNMAメッセージを受信するためには、L6E信号の受信が必要です。私の所有している受信機のうち、オープンソースソフトウェア定義無線Pocket SDRと、Allystar HD9310オプションCは、このL6E信号を受信できます(参考:Pocket SDRでのL6E信号受信、HD9310オプションCでのL6E信号受信)。これから、少しづつ信号受信を試してみます。
Galileo HAS
欧州のGalileo衛星は、これまで測位精度を高める信号HAS(high accuracy service、ハス)を試験放送していました。そして、昨日2023-01-24に、Galileo HASの運用開始が発表されました。
このHASは、Galileo衛星のE6B信号とインターネットの両方にて配信されます。利用料金は無料です。
インターネットHAS配信に、これから申し込んでみようと思います。EUSPA(European Union Agency for the Space Programme)のGSC(GNSS Service Centre)アカウントにログインして(参考:アカウント作成方法)、トップバナーをGalileo
→ Services
→ Galileo High Accuracy Service (HAS)
→ Galileo HAS Internet Data Distribution
の順にクリックして到達したページ「Galileo HAS Internet Data Distribution」から、NTRIP(エヌトリップ, networked transport of RTCM via Internet protocol)アカウントを申請できます。
オープンソースソフトウェア定義無線受信機Pocket SDRはこのE6B信号を受信できます! また、NovAtel OEM729受信機でもこのE6B信号を受信できるようです。
まとめ
昨日2023-01-24に二つのビックニュースが舞い込んできました。信号受信やデコーダー作成に忙しくて、寝る時間がなくなるではないか… (^_^)