QBIC社会実装推進WGでのみちびき測位補強信号受信に関する講演
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高精度衛星測位サービス利用促進協議会(QBIC: QZSS Business Innovation Council)の社会実装推進ワーキンググループ第13回会合(2021年11月8日開催)にてオンライン講演しました。
発表表題は「Allystar受信モジュールによるみちびきL6信号受信とその高精度測位への応用」です。発表概要は次の通りです。
高嶺の花であった、みちびきL6信号受信機が一般にも普及しつつあります。多周波数アンテナも安価に入手でき、みちびきの高精度測位が身近になる未来を感じます。一方、L6信号を活用する高性能受信機も市場にありますが、これらは座標値しか出力されず、みちびきの真価がブラックボックスであるように思います。ここでは、中国Allystar社HD9310評価キットにより実際にL6信号を受信して、その生データを解読してみます。
- みちびきの信号受信はとても楽しい。
- 最先端の受信機にはすべての機能が実装されているとは限らない。
- CLAS測位では受信信号欠落に注意する。MADOCA測位では電離層遅延・対流圏遅延の補正方法を考える。
- 素晴らしい技術を身近にしてくださった皆様にいつも感謝しています。
いただいたご質問は次の通りです。
- CLASにて作成したVRSの観測データのレートはどの程度ですか。
CLASLIBをそのまま使って、1 Hzでした。 - u-blox ZED-F9Pでは、みちびきの信号は利用できないはずです。
F9P内蔵のRTCMエンジンでは、確かにみちびき信号の観測結果は出力されません。しかし、F9Pの生データ出力をRTKLIBに読み込めば、普通にみちびき信号が利用できます! - Allystarチップの情報はあまりないので助かりました。
みちびきを活用するためには、多くの人がみちびき信号に触れられるようにすることが大切だと思います。みちびき信号のアーカイブはありますが、MADOCAの有償サービスを除き、インターネット経由でいつでも利用できるリアルタイムデータがありません。リアルタイムデータも公開してくださるのが望ましいです。もっとも、私のNtrip Casterの設定ファイルに2行書き足すだけで、このリアルタイム観測データを世界に公開できますが…。