NovAtel OEM729新ファームウェア7.09.00
はじめに
GNSS(global navigation satellite system)受信機NovAtel(ノバテル)OEM729受信機の新ファームウェアが2023-05-04に公開されました。また、ウェブインターフェースも2023-04-11に公開されました。管理画面が、以前のものと比べて、より見やすくなりました。
バージョン1.13.0のウェブインターフェースでは、設定変更の際に管理者パスワードが求められるようになりました。管理者パスワードの確認が必要です。
新ファームウェアのリリースノート
リリースノートには次の点が改善されたそうです。
New Features
• Precision Time Protocol (PTP) Additional Firmware Updates
Additional Firmware Updates
• Improved time to first fix
• Improved PPP under scintillation conditions
• Improvements to SPAN initialization and performance
• Secondary SPAN solution for improved reliability in challenging conditions
• Support for the μIMU-IC with UART interface
• Export velocity limit increased to 600m/s
• Use of BeiDou B2b in RTK positioning
• New and improved Doppler Velocity filter
• Maximum number of logs increased to 128
新ファームウェアでは、BeiDouのB2b信号にて伝送されるPPP-B2b高精度補強情報を扱えるそうで、楽しみです(しかしながら、PPP-B2bに対応するコマンドが追加されていないようです)。
実は、私はBeiDouのB2b信号のことを知らなかったのですが、高須先生の日記・備考録2023-06-16にあるSeptentrio mosaic-X5受信機の記事を見て、B2b信号に興味を持った次第です。
ダウンロードとアップデート
NovAtelのOEM729サポートページから7.09.00 FirmwareのZIPファイルをダウンロードします。また、そのすぐ上にあるSetup and Monitor (Web)のZIPファイルもダウンロードします。
それぞれのZIPファイルを展開します。また、PDF DocumentsページのOEM7 Receiver Cardsをクリックして、新しいCommands and Logs Reference Manualもダウンロードしておきます。
管理者パスワードの確認
今までのウェブインターフェースでは、すべての操作の際に、パスワードを求められませんでした。このOEM729をリモート利用している場合には、アップデート前に、あらかじめ管理者パスワードを確認する必要があります。
管理者パスワードの初期値は、13桁のPSN(product serial number)であり、基板の裏に記されているとのことでした。PSNは、コマンドLOG VERSIONA
でも知ることができます。
管理者パスワードは、「SETADMINPASSWORD
旧パスワード 新パスワード」の形式で変更できます。パスワードがわからなくなったら、FRESET USER_ACCOUNTS
で初期化できます。
ファームウェアアップデート
旧ウェブインターフェースでは、UPDATE
ページにてアップデートします。ファームウェア・ファイルの拡張子はshex
、ウェブインターフェースの拡張子はhex
です。それぞれのアップデートで受信機が再起動します。
新しいウェブインターフェースでは、衛星システムごとの信号強度は表示されず、スカイプロットで衛星をクリックして確認するようになりました。また、電波干渉(Interference)がリアルタイムで表示されるようになり、私の環境では頻繁にL5帯の電波干渉があることがわかりました。
Status以外のタプをクリックすると、管理者パスワードが求められます。パスワードが思い出せなかったのですが、パスワードを設定していないICOMポートを設定していましたので、上述の方法で、初期パスワードを確認して、パスワードリセットしました。
デバイス画面では、PSNなどが確認できます。Auth Codeを購入した際は、この画面で設定できます。
ConfigurationタブにあるPositioning設定では、測位モードとしてTransmit (Base)、Receive (Rover)、および、Standaloneが選択できます。TransmitやReceiveを選択すると、さらに、SBASなどの設定ができます。また、Ports設定では、RAWEPHEM
(GPSエフェメリスの生データ)などの出力設定がより簡単になりました。
ウェブインターフェースアップデートで、より使いやすくなったと思います。設定変更に管理パスワードが求められるようになって、良くなったと思います。しかしながら、このパスワードは平文で伝送されるので、インターネットに接続する際には注意が必要です。