通信キャリヤ利用型LPWAであるLTE-Mの体験
LTE-M
個人でも気軽に購入でき、パソコン等に接続して比較的小容量(例えば数百バイト)のディジタルデータを遠距離に届けることのできる移動無線通信LPWA(low power wide area)が人気です。
LPWA無線通信機器を複数台だけ準備して、互いに通信できるようにすれば、月額利用料のかからない環境測定システムでさえ構築可能です。一方の基地局を通信キャリヤに肩代わりしてもらい、この通信キャリヤに月額利用料を支払うことで、インターネット接続機能やデータのグラフ化機能を提供してもらうこともできます。後者のLPWAには、フランスのSigfoxや、LoRaWAN、そして最近では第4世代携帯電話システムLTE(long term evolution)の基地局を改修して規格化したLTE-Mがあります。
Wio LTE M1/NB1
2018年10月中旬に、ソラコムがLTE-Mの一般向けサービスを開始しましたので、早速、購入しました。通信キャリヤはKDDIです。無線通信基板Wio LTE M1/NB1の他に、LTE-M用のSIMカードが必要です。
この無線通信基板は中国企業のSeeed Studioが製造したもので、そこにある通信モジュールはQuectel社のBG96でした。この通信モジュールは、技術基準適合制度(技適)を取得しています。
この無線通信基板のSIMカードスロットとSDカードスロットはスタックされていて、省スペースです。
横から見てもこのスロットはコンパクトです。自らのセンサが接続できるようにGloveコネクタがあります。
本体にはSTM32F4マイコンがついていて、Gloveコネクタに接続したセンサ情報をLTE-Mにより伝送する装置をArduino IDEを用いて開発することができます。開発に必要なライブラリは、日々、更新されているようでして、とても活発です。この基板に電源を投入すると、初期化が始まります。私の基板では、実際に通信を始められるまでに30秒程度かかりました。この基板にはRGB LEDが搭載されていますので、ここに電波強度が表示されるようにしてみました。ポータブルバッテリを接続して自動車で広島県内を走行しましたが、山奥でも十分な電波強度で利用できることに驚きました。
サンプルを参考にして作成したプログラムは次の通りです。
また、このボードはLiPo電池管理ICも付いていて、充電もできて、便利です。
LTE-M Button
その後、LTE-M Buttonが発売されました。ボタンを押した情報、長押しした情報、そしてダブルクリックした情報の3種類を区別して、電池残量とともにクラウドにアップロードするものです。私のWio LTE M1/NB1では接続までに30秒程度の時間がかかる一方、このLTE-Mは5秒くらいでデータ送信まで完了します。
もちろん、技適も取得しています。
説明文にしたがい、3種類のボタンの押し方をslackに表示する方法を試して、うまく行きました。はじめて、Amazon AWSをまともに使いました。
Wio LTE M1/NB1とLTE-M Buttonの両方を使い比べて見ましたが、色々なことができるWio LTE M1/NB1の方が楽しいと感じました。