GPS用チップアンテナ

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はじめに

スマートフォンは、小型化のために、チップ部品が用いられます。このような部品の小型化は、GPSアンテナも例外ではありません。

一方、アンテナを半波長間隔にて複数並べてアレイ化し、受信方法を工夫すると、特定方向のみの電波を受信できることが知られています。アレイアンテナには、妨害電波をキャンセルする能力が期待されています。このアンテナが小さいほど、アレイ化設計の自由度が高まります。

ここでは、GPSアレイアンテナの予備検討として、GPS用チップアンテナの特性を測定してみました。

単体アンテナの特性

GPS用チップアンテナは、電子部品販売店で、1個100円程度にて購入できます。

実際にこれをアンテナとして用いるためには、受信機に充分な電力を供給するための増幅器や、隣接する携帯電話電波などを除去するフィルタが必須ですが、ここではチップアンテナの単体特性を見てみます。

SMAコネクタの両端にこのチップアンテナを空中配線して、測定器であるネットワークアナライザに接続します。本当は、インピーダンスが50オームになるような線路を持つプリント基板を作成して測定すべきでした。

GPS chip antenna

ここで用いるネットワークアナライザは2つの端子を備え、ポート2で信号を送信しながらポート1で受信することや(S21パラメータ測定)、ポート1端子で送受信を兼ねること(S11パラメータ測定)もできます。ここではネットワークアナライザをS11パラメータ測定モードに設定し、ネットワークアナライザから送信した電波が、アンテナを経由して、どの程度ネットワークアナライザに戻ってくるのかを測定します。

ネットワークアナライザのスクリーンショットは次のとおりです。

GPS chip antenna

中心周波数をGPS L1信号のそれに(1575.42 MHz)、測定範囲(スパン)を500 MHzに、そして、その中心周波数での数値特性を知るためにマーカー(オレンジ色の三角)を設定しました。このとき、マーカー周波数でのインピーダンスは、2.67+44.22jオームでした。インピーダンスは、通常、複素数表示します。

ネットワークアナライザに電波が戻ってこなければ、この全ての電波がアンテナから放射されたと考えられます。そのとき、インピーダンスは50+0jオームになります。しかしながら、ここでのインピーダンスは、目標インピーダンスから大幅に離れています。

この図面はスミスチャートと呼び、その特性を、円の中心と、直径を示す左右の太線を基準に読み取ります。円の中心は50+0jオームを示し、左右の直線はインピーダンス実部(抵抗分)を表します。直線の左端は0+0jオーム、右端は♾️+0jオームです。

右端から上方向と下方向に伸びている円弧は、インピーダンス虚部(リアクタンス)を表し、上方向は正のリアクタンス、下方向は負のリアクタンスを表します。抵抗分は0オームから無限大オームまで、リアクタンスはマイナス無限大オームからプラス無限大オームまで取ります。したがって、測定軌跡が円の中心に近づくほどよく、目標周波数で円の中心に達するようにアンテナを調整すれば良いのです。スミスチャートは、インピーダンス特性を簡潔に表現できる、大発明なのです。

しかしながら、このアンテナの特性、全然良くない。

チップアンテナには接地板が必要

そのようなはずはないと思いながら、チップアンテナを一方を指で触れたら、特性が改善されました。

GPS chip antenna

リアクタンス成分が小さくなり、抵抗成分も50オームに近づいています。しかも、500 MHzも周波数を掃引(そういん)しても、特性はほとんど変わりませんでした。素晴らしい。

GPS chip antenna

チップアンテナを空中配線で利用してはいけません。両面基板に配置し、しっかり接地板を設置したチップアンテナは、かなり良い仕事をしてくれそうです。

まとめ

チップアンテナを用いるときには、横着せず、プリント基板を作成しなければなりませんでした。次は、増幅器とフィルターについて考えてみようと思います。