SmartCom 2025(アイントフォーフェン)
はじめに
電子情報通信学会スマート無線研究会(SR研)が主催するSmartCom(スマートコム、smart communications)2025に参加しました。移動通信技術の国際共同研究を推進するための会議です。会議の空き時間に、Pocket SDR(オープンソースGNSSソフトウェア無線)を用いてオランダのGNSS電波を収録しました。
SmartCom 2025
今年のSmartComは、オランダのアイントホーフェン工科大学(Eindhoven University of Technology)で6月4日から6日までの期間に開催されました。オランダの空の玄関口であるアムステルダム・スキポール空港は、鉄道駅と直結していて、飛行機から鉄道へスムーズに乗り継ぎできました。
オランダの電車NSのチケットは自動販売機でも購入できます。クレジットカードを使った「タッチ乗車」もできるそうです。しかし、同名のスマートフォンアプリNSを使うと、チケットの購入、現在位置や乗換情報の表示、運行情報の確認ができて便利です。
電車乗り場には、はじめてNSに乗車する人も迷わないよう、わかりやすい表示がありました。
スキポール空港駅からアイントフォーフェン中央駅まで、IC(インターシティ)で1時間半の道のりでした。
ゆったりとした2階建て電車で、快適な移動でした。オランダ鉄道では、ICであっても特急料金はかからないそうです。
また、鉄道改札のないところ(例えばスキポール空港駅)と、自動改札のあるところ(例えばアイントフォーフェン中央駅)があります。改札のあるところでは、QRコードやクレジットカードをかざして出札します。
アイントフォーフェン中央駅からアイントフォーフェン工科大学までは徒歩10分程度です。
大学までの道のりの途中には、見どころのひとつであるFlying Pinsがあります。工学と芸術のBrain Cityであるアイントフォーフェンの象徴ともいえます。
今回の会場のZwarte Doosです。1階がカフェ、2階が大会議場になっています。2階のガラス部分には、ポスターセッションのスタンドが見えます。
会議場は広々としていて、映画館のように快適でした。
これは質問用のワイヤレスマイクです。上部の黒い部分がマイク部分になっていて、側面にはアイントフォーフェン工科大学のロゴ(TU/e)があります。
座長は質問者にこのマイクキューブを投げ渡しますので、質疑応答も盛り上がりました。このマイクには衝撃センサが内蔵されていて、投げるときにも、落としてしまっても、自動ミュートがかかり、不快な音が会場に響きません。軽いので、人に当たっても大丈夫です。すごいアイディア商品です。底部のロゴによると、CatchBoxという製品だそうです。
これは昼食兼ポスターセッションの写真です。私もコーヒを飲み、サンドウィッチを食べながら、ポスター発表しました。
フィリップス博物館
アイントフォーフェンは、電機メーカーのフィリップスと共に栄えた街でもあります。かつては、白熱電球の大きな工場があったそうです。SmartCom 2025の懇親会は、フィリップスの白熱電球の歴史を紹介するフィリップス博物館を貸し切って開催されました。
博物館を入ってすぐのところには、歴史を紹介するパネルがあり、その先には昔の多フィラメント構造の白熱電球が展示されていました。
また、1918年製のX線管もありました。
当時の白熱電球工場を再現した展示もありました。フィラメントには木綿も利用されていて、また、写真右側には電球の明るさを測定する装置もありました。
そのほかにも、ブラウン管式テレビ、CDプレーヤ、昔のコンピュータや、大型コンピュータの磁気テープストレージも展示されていました。
High Tech Campus Eindhoven
学会最終日には、企業見学会がありました。アイントフォーフェン工科大学から車で15分のところにある工業地帯High Tech Campus Eindhovenです。大学から徒歩でも移動可能ですが、学会が見学のためにバスをチャータしてくださいました。
ここにはハイテク企業が集まり、半導体露光装置のASMLの本社や、半導体企業のNXPの研究拠点もあります。
キャンパス内は、ゴミ箱や駐車場も石で覆われていました。
私は、学会主催の企業訪問として、Signify Bright Sitesと、IMEC & TNO Holst Centerを見学しました。 入館の際には、氏名・所属の記入と、パスポートの提示が求められます。
これは、無線装置付きの次世代街灯です。裏面には、LEDドライバーと、複数方向で通信するアンテナがあります。
屋外には、複数のハイテク街灯が設置されていました。
この他にもヘルスケアICなど、多くのものを見学してきました。
しかしながら、ここでの展示は、最新の研究よりもむしろ、一般向け見学コースのようなイメージでした。アイントフォーフェン工科大学の研究室のすごいものを見た後ですので、企業研究もこんなもんではないと感じています。
Pocket SDRによる衛星電波収録
学会の休み時間に、アイントフォーフェン工科大学内を散歩しました。大学内に広場を見つけましたので、GNSS電波を短時間だけ収録しました。
収録データをPocket SDR収録データにおきます。確認したところ、GPS L1C/A、SBAS L1C/A、Galileo E1-B、Galileo E6-Bは収録できていました。
アイントフォーフェンの街並み
空き時間に、アイントフォーフェンの街を散策しました。これは、駅から徒歩10分のところにある、聖カタリナ教会(Sint Catharinakerk)です。静かに鑑賞しました。入場無料です。
これは洋服屋さんです。おしゃれな建物です。
オランダは、自転車社会でして、多くの人々が自転車で移動します。追加料金を払えば、自転車を電車に持ち込むことも可能です。これは自転車駐車場です。
昼間には、駅前広場で市場が開催され、多くのレコード!が売られていました。
街中は活気にあふれています。昼からビールを飲むことも可能です。