2010年度 情報通信システム特論 講義概要

担当者 高橋 賢
対象 大学院博士前期課程1・2年次 前期
概要

電気信号により意思疎通を行う様々な手法や技術、それらに関する標準化や法制度、そして情報通信技術を取り巻く環境の現状や将来の予想を自らの言葉にて説明できるようになることを目指します。

講義のねらい

現在では20年前に全く想像できないような、遠く離れた人々の間での自由で闊達な意思疎通が可能になり、世界中の多くの人々がその恩恵を享受しています。例えば、1979年に東京23区内にサービスエリアを限定して始まった日本の携帯電話をとっても、絶え間ない改良が続けられ、今では8,300万加入を超える利用者を獲得し、その市場規模は10兆円にも達しています。このような情報通信技術の急速な発展の過程において、多くの技術が生み出されてきた一方、熟考され洗練された技術が様々な要因によりその役目を終えて消え去りました。限られた時間の中ではそれらのすべてを網羅できませんが、情報系の研究者、技術者、および技術分野での指揮・監督者を目指す学生に是非、知っておいてほしい技術、背景、そして思惑を講義します。講義、文献、そして資料を通して技術全体を鳥瞰し、時にはシミュレーションプログラムを作成することにより、学生自らにて情報通信システムを深く理解することを望みます。これまでに数学や通信の基礎(例えば、フーリエ変換、熱雑音、アナログ・ディジタル変復調)を学んで理解していることを前提に講義を進めます。

受講要件
  1. この科目のねらいを理解して、すべての講義に能動的に参加し、すべてのレポートを提出する意思のあること
  2. C言語をマスターしていて、学生自身にて利用可能なコンピュータを用いて簡単なシミュレーションが行える状態にあること。また、Matlab (またはその互換である Octave)やMathematica、Perl、gnuplotなど、これまでに経験がないかも知れないコンピュータ言語にて書かれたプログラムでも理解しようとする意思のあること
  3. 英語で書かれた文献を含む、学生自身にとって専門外の文献であろうとも、読みこなし理解しようとする意思のあること
受講生への要望 資料読解や計算機シミュレーションの結果に対して、自らの考えを説明できるようになることを望みます。
講義内容

各回の講義は、担当者による講義(40分間)、演習(10分間)および学生によるプレゼンテーション(40分間)からなります。各回において、複数の学生にプレゼンテーション(論文紹介や調査)を割り当てますので、担当することになった学生は充分な準備をして講義に望んでください。各回で扱う話題は次のとおりです:

  1. 様々な通信システムとその構成、学生発表課題の割り当て
  2. 狭帯域電波伝搬(伝搬損、シャドウイング、フェージング)
  3. 広帯域電波伝搬(遅延広がりと伝送可能速度)
  4. 雑音の種類とその統計的性質、および通信チャネル容量
  5. ディジタル信号の伝送(パルス信号の送受信、ナイキスト基準)
  6. ディジタル変復調
  7. 無線チャネル上でのディジタル変復調の性能
  8. 適応変調と符号化法
  9. 時空間通信1(ダイバシティ)
  10. 時空間通信2(マルチアンテナシステム)
  11. マルチキャリヤ通信(OFDM、PAPR問題、性能評価)
  12. セルラシステムと公衆型ワイヤレスネットワークシステム
  13. 通信ビジネス
  14. 通信システムの現状と課題
本講義を履修するためには、第1回からの出席が必要です。仕方のない理由で第1回講義を欠席する履修希望学生は、あらかじめ担当者に申し出て指示を受けてください。
評価方法 講義中に行う演習、プレゼンテーションとそれに対する質問の内容、レポートの内容を点数化して学生便覧に記された基準にて評価します。なお、欠席が5回に達したとき、履修用件を満たさない、または満たさなくなったときは不合格評価とします。
教科書等 教科書:必要な資料は配布します。
参考書:
  ゴールドスミス著、小林岳彦ほか訳「ゴールドスミス ワイヤレス通信工学」(丸善)ISBN: 978-4621078471 \12,600
  阪田史郎・嶋本薫編「無線通信技術大全」(リックテレコム))ISBN: 978-4897976907 \5,985
  Proakis「Digital Communications」(McGraw Hill Higher Education)ISBN: 978-0071181839